十月の二十四節気:寒露と霜降

10月は秋がいっそう深まる時期で、「寒露(かんろ)」と「霜降(そうこう)」という美しい節気があります。空気が澄みわたり、朝晩は肌寒く感じられるようになるころ。草木には冷たい露が宿り、山々は少しずつ秋色に染まりはじめます。
10月は「神無月(かんなづき)」と呼ばれます。この名にはいくつかの説があり、最も有名なのは、男女の縁結びの相談するため全国の神々が出雲大社に集まり、各地の神々が留守になるというものです。
また、「かんなづき」の「な」は「の」を意味する古語であり、「神の月」──すなわち神様を敬い、感謝を伝える月という説もあり、「神嘗月(かんなめづき)」「神祭月(かみまつりづき)」は神様へ収穫の感謝を捧げる月という意味もあります。
お米の価格が高くなっている現在、この「神嘗月」の心で、自然や実りへの感謝を静かに感じることが大切かもしれません。
寒露は10月8日ごろ、秋がいっそう深まる節気です。
「冷たい露」という字の通り、朝晩の空気がひんやりとし、草木に露が光る美しい季節。
田んぼでは稲刈りが進み、山々は紅葉の準備を始めます。街路樹の葉が色づき、足もとにはどんぐりや銀杏が落ち、秋の訪れを感じます。
食卓には栗やきのこ、新米が並び、食欲の秋がいよいよ本番です。
神社では収穫を感謝する秋祭りが行われ、境内には菊の花が飾られます。
秋晴れの空がいっそう高く澄み渡り、自然が静かに輝く時期です。
七十二候では次のように季節が移ろいます。
- 鴻雁来(こうがんきたる)……雁が北から渡ってくる
- 菊花開(きくのはなひらく)……菊の花が咲き誇る
- 蟋蟀在戸(きりぎりすとにあり)……きりぎりすが戸口で鳴く
霜降は10月23日ごろ、露が霜へと変わり始めるころを指します。秋の終わりを告げ、冬の足音が近づく節気です。日が短くなり、夜の冷え込みが増して、野山では紅葉が見ごろを迎えます。
神社や寺院では紅葉のライトアップが行われ、夜の静けさの中で、光に照らされた木々が美しく映えます。
またこの時期、田の神様へ御神酒やお供え物を捧げ、収穫への感謝を伝える行事が行われます。
秋の雨は「一雨一度(ひとあめいちど)」といい、ひと雨ごとに気温が下がっていく季節でもあります。秋の終わりに向かう空気の冷たさが、どこか心地よく感じられる頃です。
七十二候では次のように季節が移り変わります。
- 霜始降(しもはじめてふる)……初霜が降りる
- 霎時施(こさめときどきふる)……時折小雨が降る
- 楓蔦黄(もみじつたきばむ)……紅葉や蔦の葉が色づく
