十二月の二十四節気:大雪と冬至

あと半月で新年ですね。新年の初詣に向け、境内を整えながら仕事や用事を一つひとつ片付けていると、年の瀬らしい気ぜわしさを感じる頃となりました。
12月は「師走」といいます。この「師」は僧侶を指し、年末の法事で僧が忙しく走り回る様子から「師馳せる月」となった、という説が一般的です。そのほかにも、一年が終わる「年が果つる月」、一年のさまざまな出来事が終わる「万事、為(し)果つ月」、四季が終わる「四季果てる月」などの言葉が転じて「師走」になったともいわれています。
冬の野菜と聞いて思い浮かぶのは大根です。おでんや風呂吹き大根は、寒い季節に体を温めてくれる定番の料理ですね。風呂吹き大根の名の由来には、漆職人が漆器を乾かす「漆風呂」で大根のゆで汁を利用していたことから、残った大根に味噌をつけて食べた、という説があります。また、熱々の大根に息を吹きかける様子が、風呂を焚く姿に似ていることから名付けられた、という説も伝えられています。
さて、12月の二十四節気は「大雪」と「冬至」です。
大雪は旧暦11月、子(ね)月の正節にあたり、新暦では12月7日頃です。立冬からおよそ30日後にあたり、天文学的には太陽が黄経255度の点を通過する時を指します。文字どおり雪が本格的に降り始める頃とされ、山々は雪に覆われ、平地にも雪が舞う季節です。
11月22日に小雪を迎えてから、千葉でも次第に冷え込みが増してきました。ニュースでは「冬将軍の到来」という言葉が聞かれるようになります。冬将軍とは、シベリア寒気団によってもたらされる厳しい寒さを、ナポレオンのモスクワ遠征の失敗になぞらえて表現した言葉です。この頃から寒波や豪雪による影響が現れやすくなります。
大雪の頃を七十二候で見ると、次のようになります。
- 閉塞成冬(そらさむく ふゆとなる)
- 熊蟄穴(くま あなに こもる)
- 鮭魚群(さけのうお むらがる)
続いて冬至です。冬至は陰の気が最も極まる日で、一年のうちでもっとも昼が短く、夜が長い日とされています。この日を境に、少しずつ昼の時間が長くなっていきます。天文学的には、太陽が黄経270度の点を通過する時を指します。
太陽の力がよみがえる日と考えられてきた冬至には、冬至祭として小豆がゆを食べたり、かぼちゃをいただいたり、ゆず湯に入る風習があります。とくに旧暦11月1日と冬至が重なる年は「朔旦冬至(さくたんとうじ)」と呼ばれ、非常にめでたい日として宮中で宴が催されました。「ん」のつく食べ物や、かぼちゃ・ゆず・柑橘類など太陽の温かさを思わせる色の食材は、縁起が良いものとされています。
冬の気は冬至を境に少しずつ緩み、立春へ向かって春の気へと移ろっていきます。ただし、実際の寒さはこれからが本番でもあります。
冬至の七十二候は次のとおりです。
- 乃東生(なつかれくさ しょうず)
- 麋角解(さわしかの つの おつる)
- 雪下出麦(ゆきわたりて むぎ のびる)
寒さの中にも、確かに次の季節へ向かう気配が宿る時期です。日々の暮らしの中で、こうした暦の移ろいを感じながら年の終わりを過ごしていきたいものですね。


