身も心も清々しい気持ちで夏を迎えましょう
6月も半ば過ぎて、一年の半分が過ぎようとしています。大和八幡神社に関わってくださる皆様、いかがお過ごしでしょうか。
茅の輪の由来
神社で6月の大きな行事といえば、「夏越しの大祓」です。当社では行っていませんが、多くの神社では参道に大きな茅の輪を設置しています。
茅の輪くぐりの作法は神社によっていろいろあるようで、和歌や「祓え給え、清め給え」と唱えながら巡ります。左・右・左回りと茅の輪を廻るときに3首の歌を詠む方法もあります。ちょっと想像すると、相当大きな茅の輪が必要でゆっくりと廻らないといけないし、後ろの人を気にしない強いメンタルが必要な気がします。
私が育った街にも境内に古墳があると噂されていた式内社があり、茅の輪くぐりをした記憶があります。その時は別に何も唱えませんでした。たしか6月30日ではなく、夏休みの間に茅の輪くぐりをした記憶があります。
茅の輪の由来は神話によると腰に下げるくらいの大きさでした。須佐之男命が一晩のお礼に蘇民将来に今後災いが起きたとき茅の輪を腰に下げている蘇民将来の子孫は助けようと言ったのが由来だとされています。
目印程度の茅の輪がその後だんだんと大きくなり、人が一人通れるくらいの大きさになり、江戸時代では今のような大きな輪になりました。
茅にはどうして祓えの力があるのか
ところで、どうして須佐之男命は茅で輪を作るように教えたのでしょうか?
茅の葉は剣のようにシュッとして立っているので矛の字が当てられました。矛は神前に供えられるので、悪霊を寄せ付けない、また権力を示すものです。茅に矛の神聖性を重ねたのかもしれません。
茅は私たちにとって身近な植物です。茎葉はかやぶき屋根の材料になり、白い穂は火打ち石の火口に使われ、利尿作用のあるお茶として飲まれています。
一方でインターネットで「茅」と検索すると、除草剤や駆除方法のページがヒットするくらいやっかいな植物と紹介されています。実際に抜いても抜いてもまた生えてきます。
夏になると腐りやすくなり衛生環境が悪くなります。疫病が流行りやすくなると言われています。矛に似た茅を身につけることで疫病の悪神から身を守り、無事に夏を乗り越える生命力にあやかったのでしょうね。
大祓期間の過ごし方
「大祓詞に流れる日本人の心、よりよい明日への祈り」で大祓詞は究極の「死」という問題に向き合って、本来の自己を見つめ直し、悔い改めることが「祓い」であると書きました。
神社で茅の輪くぐりや大祓式に参列することだけが祓えではありません。日々の生活の中でできることもあります。
「穢れ」とは面白い概念で、人形の和紙に自分の罪穢れを移し、水に流すとで罪穢れは浄化されます。
現代では穢れは「気枯れ」と考えられており、気枯れした状態のこと、気枯れする原因、例えば疫病も穢れになります。
疲れを溜めないことや疲れる原因を排除していくことも祓えになります。そのためには、日々の生活を振り返ることが必要になりますよね。日々の反省と行動を決心するとこが大祓ではないでしょうか。
この半年間で上手くいったこと・上手くいかなかったことを振り返るきっかけとして大祓期間をお過ごしください。そして、これからの季節、食中毒や熱中症など気をつけてくださいね。