六根清浄から他人に影響されない生き方を学ぶ

6月の境内の様子とタイトル文字

私をはじめ、多くの人が他人の何気ない言葉や一瞬見せる表情に傷つき、苛立ち、振り回されることがあります。「あの人にこんなことを言われた」「ああ言い返せばよかった」と、その時の様子を思い返しては後悔と苛立ちが繰り返されます。嫌な出来事や嫌な人に時間と気力を奪われることは、本当に無駄です。

私はアンガーマネジメントの本を何冊か読み、そのおかげで怒りの特徴や原因、対策について学ぶことができました。私には「パッとした怒り」と「ネチネチした怒り」という思考の癖があることが分かり、確かに以前よりも穏やかに過ごせるようになりました。しかし、感情は反射的に湧き上がるものであるため、些細なことでも感情が左右されることがあります。

そんな中で、私の思考の癖を直す方法を探していたところ、普段読み上げている「六根清浄大祓」にその答えがあることに気づきました。読み始めたばかりの頃、「六根清浄大祓」は自分勝手な解釈だと思っていました。

例えば、人の悪口や陰口を仲間と噂話しても本心からでなければ不浄にならない、暴力を見ても気にしなければ汚れない、見て見ぬ振りをするような都合のいい生き方だと思っていました。しかし、何度も読み上げるうちに、私が勝手な解釈をしていたことに気づきました。生活していれば良い事ばかりではありません。嫌な出来事に遭遇した場合、どういう心持ちで過ごせばよいのかが書かれていると理解しました。

目に諸々の不浄をみても、心に諸々の不浄を見ず

耳に諸々の不浄を聞ききて、心に諸々の不浄を聞かず

鼻に諸々の不浄を嗅ぎて、心に諸々の不浄を嗅がず

口に諸々の不浄を言いて、心に諸々の不浄を言わず

身に諸々の不浄を触れて、心に諸々の不浄を触れず

意に諸々の不浄を思いて、心に諸々の不浄を想わず

相手のアドバイスを「受け入れる」のか「受け止める」のかで、反応が変わります。このことを「六根清浄」では説いています。六根清浄は、私たちの六つの感覚(眼、耳、鼻、舌、身、意)を浄化し、心の平安を保つことを目的としています。これにより、他人の言葉や行動に過度に反応せず、冷静に対処できるようになります。

例えば、誰かからの批判的な言葉に対して、ただそのまま受け入れるのではなく、冷静に受け止めることで、自分自身を守りながらも建設的なフィードバックとして活用できます。六根清浄の教えに従うことで、私たちは自分の感覚をクリアに保ち、外部からの影響を適切に処理する力を養うことができます。

六根清浄を実践することで、私は他人との距離を測ることができるようになりました。傷つけてくる人の攻撃が当たらない位置まで下がることができ、その結果、その人のストレスも減り、日々の生活においても心の平安を感じることが増えました。これにより、他人に影響されない生き方の重要性を実感しています。

六根清浄の教えは、現代社会においても非常に有用な指針となります。他人の意見や評価に振り回されず、自分自身を見つめ直すことで、より充実した人生を送ることができます。私の体験を通じて、読者の皆さんにも六根清浄の実践を試みるきっかけとなれば幸いです。