これからの”みたま祭”を考えるきっかけに、ご先祖様の位牌をみたま遷ししました

我が家の遷霊祭アイキャッチ画像

みなさん、こんにちは!

私の近いご先祖様の”みたま”を位牌から霊璽にお遷り頂き、我が家の”みたまや”に併せ祀りました。

今回の記事は、新しい「みたま祭」のきっかけになるんじゃないかなと思います。

「これからご先祖様の供養は神式にしようかな?」「父親は神式で葬式をしたんだけど、祖父母の位牌をどうしたらいいんだろう?」と悩んでいる方の参考になったら幸いです。

神職でも仏教徒である

「我が家の宗派は何?」と聞かれたら、「えっと?ウチのお葬式は〇〇宗でするんだよなぁ・・・、だから、〇〇宗かなぁ」なんてお答えになるのではないでしょうか。

神職も実は同じです。全ての神職が社家や代々神道ではありませんので、やはりお葬式や法事はその家の仏教や宗教の宗派で行います。

私も同じです(でした?)当社は先代の父が創建しました。だから父からは神道ですが、祖父母は浄土真宗でお葬式や法事をしています。

知らない人は「神職なのに仏教でお葬式するのww」なんて笑いますが、神職が神式お葬式をで行う事は最近のことです。江戸末期に神職本人とその嫡男のみ許されそれ以外の家族はやはり仏式でお葬式をあげました。そんな名残もあって全ての神職が神式で行うとは限らないのです。

遷霊祭合祀祭をした理由

でも、ちょっと具合がわるかったのです。

父が他界して、しばらくして父の実家が空き家になりました。だれもお仏壇を守る人がいなくなり数年が経ちました。

「このままじゃダメだな」と思い、母に「父と一緒に位牌を祀ってもいい?」と相談しました。

「いいよ」と返事をもらったけども、位牌を祖霊舎に祀るのはどうなんだろうかと悩みました。どうやら私と同じ状況の人で位牌と祖霊舎を祀ることもあるそうです。

「私、いちおう神職だし。今回はお仕事じゃない個人の、しかも私の親族だし、間違ってもいいじゃん!(超ポジティブ)」と遷霊祭・合祀祭をすることにしました。

いくつかの問題点

ところが、大きな問題がありました。

  • 祖母の”みたま”をどうするか
  • 位牌から霊璽への”みたま遷し”の手本がない
  • そもそも”みたま”が遷ったかどうか、どうやって分かるんだろうか

この時、位牌に祖母の名はありません。訳あって別の所に祀られています。

さて、どうしようか?案としては、祖母の御霊はなしで位牌だけ御霊を遷す、または祖母の御霊も位牌の御霊も霊璽に遷すことが考えられます。祖母だけなし、というわけにはイカンと思います。

手持ちの神道大教教本や『神葬祭の栞』にはご遺体からの遷霊式はあるけども、位牌からの”みたま遷し”は掲載されていません。

何を手本にしたらいいのか分かりません。手本があればそれを信じてみたま遷しができます。手本を信じられたら、御霊が遷されたことも信じられます。それがないのだから、御霊が遷ったかどうか不安です。

問題への解決策

理屈から考えれば手本はありました。地鎮祭や入居清め祓いなどで行う「降神乃儀」と神葬祭の「遷霊式」です。

また、”みたま遷し”ができているかどうかは、それを信じられるかどうかです。そうじゃないと、降神の儀も遷霊祭も嘘になっちゃいますからね。

でも念のため、御霊が現世に帰ってくるといわれるお盆の時期に合わせて遷霊祭を行うことにしました。

遷霊祭・合祀祭の準備

霊璽の板とチョーク

霊璽の準備:命名はどうする?

準備で一番大切な物は霊璽(れいじ)です。御霊代(みたましろ)ともいいます。

我が家のみたまやの大きさを測って、ちょうどいい大きさの繰り越し式霊璽を購い求めました。

さて、お名前をどうしようと考えました。選択肢はいくつかあります。

  • ご法名のまま使用する
  • 本名に「命」をつける
  • 生前の活躍にふさわしい称え名をつける

ご法名は祭詞で読み上げるときに言いにくいのでやめました。また、生前の活躍にちなんで新しい彦名・姫名をつけるには私の教養がたりない。消去法で本名に「命」をつけることにしました。

ただ、女性に「命」を直につけると強そうな感じがしたこと、70歳を超えて帰幽しているので「刀自命」としました。曾祖父だけが帰幽した年齢が90歳だったので、曾祖父は「翁命」としました。

祭詞の作文

つぎに、祭詞です。遷霊祭で2本、合祀祭で2本の合計4本祭詞が必要になります。

祝詞全集を利用すれば大体作文できます。合祀祭や神葬祭の遷霊式の祭詞はありました。でも、祖母の御霊の降霊祭詞と遷霊祭を行う理由をどうするかが一番悩みました。

といっても、身内なので美辞麗句を並べる必要がないので気が楽です。

ご指摘したいところがあると思いますが、遷霊降霊祭詞です。

此の仏(なかこ)の御霊代に祀る〇〇命(位牌の御霊分)、〇〇家先祖(みおや)の御霊達、亦、○○に鎮ります〇〇(祖母名)の御霊と共に此の木の香り芳し新しき御霊代に遷り坐せと慎み敬いて白す

位牌を仏の御霊代としました。祖母は「鎮まり坐す」かどうかはわかりませんが、お寺で永代供養をして頂いているのでこのようなカタチになりました。

位牌なので法名を言ってから、新しい命名を申し上げた方が良かったかもしれません。

日付とお供えもの

神葬祭の遷霊式は夜に行われます。しかも、遷霊式には明かりを消して暗闇で行います。そのため、2日に別けて遷霊祭・合祀祭を行いました。

お供え物は、遷霊祭ではおはぎと和菓子です。合祀祭では野菜と果物にしました。お供え物については、あまりこだわりません。よくいえば「ピン!」ときたものを買います。

8月13日夜 遷霊祭

我が家の遷霊祭の様子

遷霊祭の式次第

  1. 修祓
  2. 御霊遷しの儀
  3. 一拝
  4. 献饌
  5. 祭詞奉唱
  6. 玉串奉奠
  7. 撤饌
  8. 一拝

式次第に書くと立派な感じがしますが、割と簡素です。

ちょうどよい祭壇(案)がなかったので、写真の様に窮屈な感じになっています。

御霊遷しの儀は、はじめに祭詞を申し上げました。祭詞を覚えられなかったので用紙をみながら申し上げました。その後、消灯し、警蹕をかけてみたま遷しを行いました。

8月14日お昼 合祀祭

我が家の合祀祭

合祀祭の式次第

  1. 修祓
  2. 一拝
  3. 合祀前祭詞奉唱
  4. 霊璽の遷座
  5. 献饌
  6. 合祀後祭詞奉唱
  7. 玉串奉奠
  8. 撤饌
  9. 一拝

私が行った合祀祭は簡略化しています。既に祖霊舎の扉を開けて用意していること、霊璽を側に持ってきていることです。簡略化しているので、移動することなく、祭壇も1セット分少なく用意しています。

簡略化したのは、仮坐がなかったからです。霊璽で日々の御祭はしていないので、特に遷座式を設ける必要はないかなと思ったからです。それに、一人奉仕だし、スペースがないので仰々しいかなと思ったからです。

家族の感想

正直、この方法が正しいかわかりません。

なぜなら、祖霊舎の扉は閉まっているので、父より先のご先祖様たちが居るかどうかは、父だけの時と差がわかりません。

ただ、「実家に位牌があるからどうしよう」などの心に引っかかるものがないのでスッキリします。

母も同様です。妹に話したら「ありがとう」とお礼を言われました。

もし、あなたが「どうしらたらいいのかな」と悩んでいるのなら、位牌から霊璽にみたま遷しすることができますよと伝えたいです。

位牌は、時期をみてお焚き上げしようと思います。それまでは、社務所の2階の片隅で時々お供え物をしながら祀っていますよ。

最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。